当協議会について

21.09.10ウェビナー「中堅職員が語る下水道の進路」を開催しました。

中堅職員が語る下水道の進路 3テーマでウェビナーを開催
(「21世紀の下水道を考える会」協議会・国土交通省の共催)

「21世紀の下水道を考える会」協議会と国土交通省は2021年9月10日、ウェビナー「下水道界中堅職員が語る-我々が織りなす下水道事業-」を開催しました。 9月10日の「下水道の日」に合わせた広報企画の一環で、「カーボンニュートラルに向けた下水道の挑戦」「流域治水関連法の施行と今後の展開」 「マネジメント時代における下水道事業の変革」の三つのテーマを設定し、国土交通省下水道部の若手職員、自治体や公的機関、民間企業からの出席者が、 その実現に求められる視点を提案しました。


【プログラム】

開会のあいさつ 13:15~13:30 国土交通省植松下水道部長

第1部 カーボンニュートラルに向けた下水道の挑戦 13:30~14:30

  • 大上 陽平 国土交通省下水道部下水道企画課下水道国際推進官
  • 大石 哲也 東京都下水道局計画調整部計画課課長代理
  • 黒崎  亨 秋田県建設部下水道マネジメント推進課主査
  • 村岡 正季 日本下水道事業団技術戦略部資源エネルギー技術課課長代理
  • 河岸 正泰 月島機械水環境事業本部ソリューション技術部熱技術グループサブリーダー
  • 長谷川行教 メタウォータープラントエンジニアリング事業本部エンジニアリング企画部技術管理グループマネージャー
-休憩15分-

第2部 流域治水関連法の施行と今後の展開 14:45~15:45

  • 久岡 夏樹 国土交通省下水道部下水道事業課課長補佐
  • 橋本  翼 国土交通省下水道部流域管理官付課長補佐
  • 山﨑 祐輔 横浜市環境創造局課長補佐/下水道事業マネジメント課担当係長
  • 斎藤 昌彦 倉敷市下水道部浸水対策室主任
  • 二宮建一郎 日本下水道事業団事業統括部計画課課長代理
-休憩15分-

第3部 マネジメント時代の下水道における下水道事業の変革 16:00~17:00

  • 末益 大嗣 国土交通省下水道部下水道事業課事業マネジメント推進室課長補佐
  • 我妻  司 仙台市建設局下水道経営部下水道計画課主任
  • 菅原 淳一 横須賀市上下水道局技術部計画課下水道計画担当
  • 深谷  渉 管清工業技術部部長
  • 増屋 征訓 NJS執行役員 東部支社東京総合事務所副所長

閉会のあいさつ 17:00~17:15
 「21世紀の下水道を考える会」協議会会長 (公社)日本下水道協会岡久理事長


【各テーマの議事概要】



「カーボンニュートラルに向けた下水道の挑戦」

 2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)の達成、2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減するという 野心的な目標が掲げられ、下水道事業にもその対応が求められる中、東京都下水道局、秋田県、日本下水道事業団、月島機械、メタウォーターからの出席者が、 それぞれの立場からカーボンニュートラル達成に向けた取組みを提案しました。
 自治体側からは、省エネ機器や新技術の導入の必要性、さらには広域化・共同化を契機にした下水道が持つ資源としてのポテンシャルの再評価などが提案され、 民間企業からは国の技術開発プロジェクトを通じた新技術の導入・水平展開、さらには自治体の規模に合わせた技術導入といった視点が提示されました。
 JSからは、自治体の支援を通じて得られた経験をベースに、中小規模の自治体では技術者の不足で課題を十分に認識できていない点、 さまざまな地域条件がある中で市町村にカーボンニュートラルの重要性を浸透させることが課題だと提起されました。
 国土交通省下水道部から出席した大上陽平下水道国際推進官は、「下水道として他産業にどれだけ貢献できているかの評価ができれば取組みの推進につながる。 下水道界全体で課題の洗い出しを」と話題を総括しました。

ウェビナーの様子


「流域治水関連法の施行と今後の展開」

 気候変動の影響などにより、毎年のように豪雨による水害が発生する中、国交省では流域のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる「流域治水」を 打ち出しました。その裏付けとなる流域治水関連法が成立し、下水道事業においても対応が求められています。
 このセッションでは平成30年7月豪雨での被災を経て、水害に強い街づくりを進める倉敷市、また大規模な内水浸水を契機に浸水対策に力を入れる横浜市から、 ハード・ソフト両面からの対策、他分野との協働などの事例が紹介されました。
 倉敷市からは、一度水害で被害を受ければ、その復旧に長期間人的リソースを割かれること、事前防災の観点からの対策の重要性が示唆されました。
 また国土交通省下水道部の橋本翼課長補佐は、下水道法や水防法の改正に伴う下水道事業の対応事項について解説があり、自治体に対し、 その対応への理解を呼び掛けました。
 JSからはこれまでの災害時派遣の実績、そして今後増加する雨水管理総合計画策定ニーズに対応してく方針が示されました。
 これらの議論を国土交通省下水道部の久岡夏樹課長補佐が。「下水道における浸水対策を流域治水プロジェクトに盛り込んでほしい。 住民の意識向上も必要。」と総括しました。



「マネジメント時代における下水道事業の変革」

 建設の時代から、既存施設の維持管理や改築・更新に事業の主軸が移るマネジメント時代に突入しています。国土交通省ではマネジメントの高度化に向けた 施策の一環として施設やその維持管理の情報の電子化を推進しており、セッションでも、その潮流にいかに対応していくか意見が交わされました。
 冒頭、国土交通省下水道部の末益博嗣課長補佐がマネジメント時代における施策方針を総括し、維持管理情報を活用することでのマネジメントの高度化の流れを開設しつつ、 その前提となる台帳の電子化の促進や、共通プラットフォームの構築進めることで業務の効率化を図っていくとしました。
 仙台市、横須賀市からは、これまでの施設管理の現状とその高度化に向けた取組み事例が紹介され、電子化によって「台帳の精度向上、データ一元化による効率化、 加工の容易化、視覚的に能力不足箇所が確認できるようになった」などのメリットが生まれたと紹介されました。企業側からは、NJSがマネジメントの高度化に向けた コンサルタントの役割を、管清工業が管路管理の現場から見た電子化の持つ可能性について提案しました。
 これらの議論を踏まえ末益補佐は「、維持管理情報の共有と分析がマネジメントを高めていく。 情報開示による官民でデータ共有できるためにもPF構築を進めていく」と締めくくりました。